卒業生紹介
個性あふれる子どもたち、成長する心と体を支える
養護教諭の仕事
初めての赴任地。「一人職」に不安もあった
私が勤務する北海道豊富町立兜沼小中学校は、利尻サロベツ公園の北端、酪農が盛んな地域にあります。小学生16人、中学生3人の合計19人の児童· 生徒が通う小中併設校です。養護教諭の私は、児童· 生徒の健康調査や健康管理、保健室での対応、保健指導、校内の環境整備などを行っています。
赴任して一番驚いたのは、4月でも豊富町が真っ白な雪景色だったことです。生まれも育ちも兵庫県の私は、環境の違いに驚きました。そして、養護教諭は、職場に同じ職種がいない、いわゆる「一人職」です。誰かに教えてもらうことはできず、前任の方が残した資料を見ながら、専門業務を進めなくてはなりません。不安でしたが、周りの教員の方々の支えもあり、今では環境にも業務にも慣れることができました。
赴任当初、保健室の掲示板に掲示物は何もありませんでした。そこで私は「ようこそ保健室へ」という案内を作り、クイズや仕掛けを盛り込んで掲示しました。すると、児童や生徒が予想以上に興味をもってくれて、掲示物をきっかけに保健室に関心が生まれ、訪れやすくなったようです。子どもたちは明るくて元気いっぱい。泣いたり笑ったりしながら日々成長する姿をすぐそばで見守ることができるのは、養護教諭の特権だと感じています。
痛みも訴えもそれぞれ。多様多感な心を受け止める
子どもは、一人ひとり個性があります。なかでも、小学校低学年の児童は、自分の症状を上手く伝えられず、表現もさまざまです。例えば、ケガをしたときに、痛みがゼロになるまで「痛い」と言い続ける児童もいれば、痛みがあってもケロッとしている児童もいます。
「お腹が痛い」と訴えてきたにもかかわらず、話を聞いてもらっただけで、安心して教室へ戻る児童もいます。保健室の先生に自分の状況を知ってもらいたいという気持ちがあるのでしょう。その様子は十人十色です。
そこで私は、児童の症状をきちんと把握するために「痛みのレベル」という表を作って保健室に掲示しています。痛みを10段階で示しているので、子どもは「今、レベル3くらい」と答えやすくなりました。小さな工夫をすれば、症状や状況は探りやすくなります。そこから、適切な処置へとつなげています。
養護教諭をめざし、心理も学べる教育学部へ
高校のとき、私が体調を崩して保健室で休んでいたら、泣きながら駆け込んできた生徒がいました。保健室の先生は、その生徒の悩みを聞いて対応していましたが、そのとき、保健室は心のケアもするところなのだと知りました。私は子どもが好きで、心のサポートをしたいと考えていたので、養護教諭を志すようになりました。
大学選びでは、学部にこだわりました。養護教諭の免許を取得できるのは看護学部が多かったのですが、私は教育や心理も学びたかったので教育学部にしました。教育心理学やカウンセリングの授業での学びは今、とても役立っています。また、子どもの成長には経験が大切だということも大学で学びました。せっかちな私は、つい手を出したくなるのですが、ぐっと我慢して、子どもがやり遂げるのを見守るようにしています。
大井 捺稀さん
(兵庫県 龍野高校出身)
大学時代、私はボランティアを通して未就学児から高校生まで多くの子どもたちに接してきました。養護教諭となった今、その経験が私の強みになっています。社会に出る前にぜひ、子どもと接する機会をたくさんもっておくといいですよ。
※掲載写真・所属・内容等は取材当時のものです