卒業生紹介
子どもが目を輝かせ始めたとき、周りの大人が変わっていく
スクールソーシャルワーカー(SSW)の仕事
子どもが安心して学び、親が安心して養育できる環境を
伊丹市教育委員会に所属し、市内の3中学校と7小学校を、私を含めた4人のSSWで担当しています。SSWは、不登校をはじめとした困りごとを抱えた子どもたちに対し、教育と福祉という2つの視点から支援を行う存在です。例えば、家庭での虐待が不登校の背景になっていることがあります。そこで私たちは、虐待の背景を探っていきます。背景が貧困だとわかれば、税金を控除してもらえる制度を紹介したり申請をお手伝いするなど、福祉制度へとつないでいきます。
ここで大切なのは、子どもの前向きな変化をとらえることです。思うに任せない状況に対して、親自身も悩み苦しんでいます。そんななか、子どもが前向きな姿を見せてくれると、親は「この子のために自分も頑張ろう」となります。その気持ちを引き出したり、大きくするための道具として福祉制度や福祉サービスを活用するのです。私たちSSWの活動の目的は福祉制度やサービスの利用を促すことではなく、利用によって子どもは安心して学ぶことができ、親は安心して子どもを育てることができる環境を整えることなのです。
心の奥にしまっていた気持ちを最初にキャッチできる存在に
子どもの前向きな変化をとらえるには、とにかく子どもと過ごすことが大切です。子どもと同じ目線に立って物事を見ることが大切です。相手がアニメが好きなら私もそのアニメを見ますし、ゲームが好きなら私もそのゲームをします。お気に入りのYouTuberをフォローもします。そうやって一緒に時間を過ごしていると、あるとき、「実は〇〇がしたいんです」などといった、心の奥にしまっていた希望や夢を語ってくれる瞬間が来るのです。このときの子どもの目は、本当にキラキラしていてきれいです。私は、そういった子どもの変化を最初にキャッチできる存在でありたいと思いながら、この仕事に取り組んでいます。
子どもの前向きな変化は大人を変えます。親も前向きになりますし、学校の先生も、地域の大人たちも、「この子のために自分ができることがあるのなら」と行動を始めます。子どもの生きがいや自己実現をサポートする大人の共同体が生まれる過程に立ち会えることも、SSWの魅力です。
「困った状態」が起こる手前で対処できる仕組みを作る
私の仕事が正解かどうかを決めるのは、子どもです。どんなに経験を積んで知識や技術を身につけても、それが目の前の子どもに通用しないのであれば意味がありません。全部捨て去り、新しい方法を探さないといけません。これからもずっと、自分をアップデートし続けていきたいです。
虐待や不登校が問題になっていますが、それらが目に見える形になって現れる前に対応することが、これからの目標です。先生方と協力しながら、問題を早期発見するためのチェックシートの作成にも取り組んでいます。仕組みを整え、普及させていくことで、親は安心して子育てができ、先生は安心して子どもと接することができる社会を実現したいです。
池田 修一さん
社会福祉学部 社会福祉学科 2001年卒
(兵庫県 明石南高校出身)
SSWは、子どもたちに自分の生き方を見られています。裏を返せば、子どもたちに自分の人生を豊かにしてもらっているとも言えます。たくさんの学びを得ることができ、成長できる仕事ですよ。
※掲載写真・所属・内容等は取材当時のものです